インストーラのグラフィカル版は、 Intel x86 など、一部のアーキテクチャでしか利用できません。 グラフィカルインストーラは、基本的に通常のインストーラと機能は同じです。 同じプログラムを異なるフロントエンドで使用しています。
機能は同じですが、グラフィカルインストーラには重要な利点がいくつもあります。 主な利点は、通常の 「newt」 フロントエンドが表示できない文字セットを使用する、 たくさんの言語をサポートしていることです。 また、マウスを使用したり、複数の質問を 1 画面に表示できたりといった、 ユーザビリティ上の利点もあります。
グラフィカルインストーラは、
CD イメージすべてと hd-media でのインストールで利用できます。
グラフィカルインストーラは、
通常のインストーラとは別の (もっと大きな) initrd を使用します。
そのため、install
ではなく
installgui
で起動してください。
同様に、エキスパートモードやレスキューモードで起動するには、
expertgui
や rescuegui
をそれぞれ使用してください。
また、(主にテストに用いる) 特殊な
「ミニ」 ISO イメージも使用できます[25]。
この場合は、単純に install
で起動できます。
netboot 用にはグラフィカルインストーラは用意されていません。
グラフィカルインストーラは、通常のインストーラよりもかなり多くのメモリ (96MB) を必要とします。 充分なメモリを確保できない場合は、 通常の 「newt」 フロントエンドに自動的にフォールバックします。
グラフィカルインストーラ起動時に、 通常のインストーラと同様にブートパラメータを追加できます。 そういったパラメータの中には、マウスを左手用に設定するものもあります。 有効なパラメータについては、項5.2. 「ブートパラメータ」 をご覧ください。
前述のように、 グラフィカルインストーラは基本的に通常のインストーラと同じように動作します。 ですから本マニュアルの他の部分は、インストール手順を説明するのに役に立ちます。
マウスよりもキーボードを使う方が好みなら、 あらかじめ 2 つのことを知っておく必要があります。 畳まれたリストを開閉する (例えば大陸の中にある国を選択するなど) 場合、 + キーと - キーを使用できます。 複数の項目を選択するような質問 (例: タスク選択) では、 選択が終わったら、 まずタブで ボタンに移動する必要があります。 選択中に Enter キーを押しても選択が切り替わるだけで、 が有効にはなりません。
別のコンソールに切り替えるには、X Window System と同様に Ctrl キーも使う必要があります。 例えば、VT1 に切り替えるには、Ctrl-Left Alt-F1 としてください。
etch はグラフィカルインストーラがある初めてのリリースで、 比較的新しい技術がいくつも使われています。 インストール中に遭遇する可能性のある問題が、まだ残っています。 Debian GNU/Linux の次期リリースでは、それらの問題を修正できる見込みです。
うまく列の整形ができず、あるべき姿のように情報を表示できない画面があります。 言語を選択する最初の画面がまず目につきます。 また、partman のメイン画面もそうです。
入力がうまくいかず、時には誤った表示をする文字があります。 例えば、アクセント記号の後に文字を入力してアクセントをつける、 文字の "結合" はうまくいきません。
タッチパッドのサポートは、まだ最適化されていません。
フロントエンドがクラッシュして、インストーラの応答がなくなってしまうと、 別のコンソールへの切り替えがうまくいきません。 フロントエンドは自動的に再起動しますが、 インストール時の問題の原因になるかもしれません。 別のコンソールに切り替える際に、 インストーラが入力待ちの状態であれば、問題を起こさずうまくいきます。
暗号化パーティションの作成は、 ランダムな暗号化キーを生成できないという制限付きでサポートしています。 暗号化キーの代わりにパスフレーズを用いて、 暗号化パーティションのセットアップが可能です。
グラフィカルフロントエンドでのシェルの起動はサポートされていません。 このため、(テキストフロントエンドにはありますが) インストールシステムのメインメニューや、 レスキューモードのメニューに関連オプションはありません。 (前述のように) 仮想コンソール VT2, VT3 でシェルに切り替えてください。
レスキューモードでインストーラを起動すると、 インストール済みシステムのルートパーティションでシェルを起動するのが便利です。 これは、VT2 や VT3 に切り替えて (ルートパーティションとしてマウントするパーティションを選び)、 以下のコマンドを実行するとできます。
# chroot /target
[25] ミニ ISO イメージは、 項4.2. 「Debian ミラーサイトからのファイルのダウンロード」 で説明する Debian ミラーサイトからダウンロードできます。 「gtk-miniiso」 を探してください。